という疑問に全力でお答えします。
僕は異業種から税理士業界に転職し、会計事務所転職は2回経験しています。会計事務所歴は通算で15年以上のベテランでもあります。
結論から言うと、「未経験」「簿記論のみ」「東京都内勤務」という条件で会計事務所に転職すると「年収360万円は狙える!」ということになります。
では、年収360万円という数字の根拠について解説します。
実際の求人を100件調べてみた
「簿記論のみ」「会計事務所未経験」「勤務地は東京都内」の年収を知るにために、実際の求人を100件調べてみました(調査日:2023年10月10日)。
求人情報は会計事務所の公開求人数が業界最多を誇る「ヒュープロ」を利用しました。
ヒュープロを税理士の視点から詳しく解説した記事はこちら「ヒュープロ(Hupro)の評判は?東京の会計事務所に転職したい人は必須」
調査の手順ですが、まず以下の条件で求人検索をします。
- 職種:税理士・税務スタッフ
- 勤務地:東京
- こだわり条件:未経験者可
次に1件ずつ求人票を読み、「未経験」「簿記論のみ」で応募できる会計事務所/税理士法人があるか確認しました。
求人の年収欄には以下のように「下限と上限」が記載されています。
以下は、転職1年目でもらえる年収(下限)のデータです。
- 100件の平均=361万円
- 100件の中央値=350万円
年収(下限) | 件数 |
200万円以上~250万円未満 | 1 |
250万円以上~300万円未満 | 5 |
300万円以上~350万円未満 | 34 |
350万円以上~400万円未満 | 25 |
400万円以上~450万円未満 | 23 |
450万円以上~500万円未満 | 5 |
500万円以上~550万円未満 | 3 |
550万円以上~ | 4 |
合計 | 100 |
ちなみに、「未経験」「簿記論のみ」という条件の場合、限りなく下限に近い年収と思った方が無難です。
なぜなら、会計事務所の転職では「実務経験」が最も重視されるからです。
また、会計事務所のクライアントの多くは中小零細企業なので、税理士試験の簿記論で学ぶ高度は知識がなくても、日商簿記3級・2級の知識で十分に対応が可能なんです。
だからといって、簿記論を持っている意味がないという訳ではありません。
簿記論という難関資格に合格したということは、「努力」「根性」「学習能力」「成長意欲」などが備わっている証拠です。
ですので、日商簿記2級のライバルよりも高く評価されるのは言うまでもありません。
参考までに、求人票にある年収の上限を狙えるのは、資格と実務経験を兼ねそろえた人材です。
具体的には「税理士」かつ「実務経験5年以上」といったスペックの人。
以下は、転職1年目でもらえる年収(上限)のデータです。
- 100件の平均=597万円
- 100件の中央値=600万円
未経験・簿記論持ちなら「年収360万円」くらい
「会計事務所未経験」「簿記論持ち」「東京都内勤務」の条件で応募可能な求人100件の中央値は350万円でした。
しかし、100件の中には「必須資格:日商簿記3級、2級以上」という求人がかなり多かったです。
簿記論持ちという点を考慮すると、350万円+αで「360万円」くらいは十分狙えるのではないかと思われます。
苦労して簿記論を取っても360万円しかもらえないのか…とガッカリするかもしれません。
しかし、先述した「年収の上限値データ」では平均約597万円、中央値600万円となっています。
- 100件の平均=597万円
- 100件の中央値=600万円
ですので、会計事務所に入って一生懸命に仕事に励み、科目合格を重ねればそれなりの年収になります。
また、税理士資格を取得できれば「独立開業」という選択肢が生まれ、定年という概念も無くなります!
転職エージェントが公表している年収
参考までに、各転職エージェントが公表している年収を調べてみました。
士業・管理部門の求人に特化したMS-Japanは、MS-Japanに登録している求職者のうち1科目合格者の平均年収は370万円と公表しています。
ただし、算出のもととなった求職者の職種や地域、経験年数については不明です。
また、税理士・科目合格者の転職に特化したマイナビ税理士 は、1科目合格者の年収は370万円程度と公表しています。
ただし、算出の根拠については一切不明です。
受験経験だけでもプラス評価される
100件以上求人を見ていると、歓迎される業務経験として「税理士試験受験予定」「税理士試験受験経験」を挙げている会計事務所がいくつかありました。
合格していなくても、1~2年ガッツリ勉強した人の知識は合格者とほぼ同じと言えます。
科目合格が無いからと初めから転職を諦めるのは勿体ないです。
もし、惜しくも「59点」で不合格になったという経験をお持ちなら、1科目合格として評価してくれる可能性は十分にあります。
その旨は、必ず履歴書でアピールすることをおすすめします。
会計事務所の面接で聞かれる質問は「自己紹介・PR」「志望動機」など、基本的な質問は一般企業と同じです。
しかし、「税理士試験」のことや「将来独立したいか」など会計事務所特有の質問もあります。
詳しくはこちらの記事「【未経験者必見!】会計事務所の面接で聞かれる質問32個」で解説しています。
未経験でも「社会人経験」は求められる
会計事務所は未経験でもOKですが、社会人経験は必要という求人が案外多かった印象です。
会計事務所転職において簿記論を持っていると求人数も多いですし、ライバルと比べても有利です。
しかし、社会人経験「ゼロ」の場合は応募できる求人が限られるので注意が必要です。
でも、ガッカリしないでください。
僕の友人で社会人経験が全くのゼロで会計事務所に入った人が「3人」います。
2人は20代後半、一人は30代半ばで初就職しました。
無職だった理由は、3人とも公認会計士や税理士の受験勉強に専念していたからです。就職時には3人とも税理士試験2~3科目に合格していました。
社会人経験がゼロでも複数科目合格できれば、可能性は十分にあります。
また、社会人経験を作るために就職しやすい職種(介護職や接客職など)で一時的に働くというのも手段の一つです。
どのような戦略がベストなのか?
会計事務所に特化した転職エージェントに一度相談してみても良いかもしれません。
未経験者は応募資格が日商簿記2級以上の求人を狙う
- 職種:税理士・税務スタッフ
- 勤務地:東京
- こだわり条件:未経験者可
上記の条件で求人検索を行い、応募資格を見ると「必須資格:日商簿記3級(または日商簿記2級)」とし、「科目合格者歓迎」「科目合格者優遇」と記載された求人が多い印象でした。
強みである「簿記論」をアピールするためには、「必須資格のハードルが低い」求人を狙うのが効果的です。
「必須資格:日商簿記3級以上」という求人に簿記論持ちの人が来たら、「優秀な人が来てくれた」という印象になります。
逆に、「必須資格:1科目以上」の求人ですと簿記論持ちは当たり前。複数科目を持っていたり、プラス実務経験があるライバルと競合したら勝ち目はありません。
会計事務所への転職では未経験者は不利です。
未経験という弱点をカバーするには、「簿記論持ち」という唯一の強みを最大限にアピールできる求人を選ぶことが大切です。
失敗しない会計事務所求人の探し方
では、理想の会計事務所の求人を探すにはどうすれば良いのか?
会計事務所求人の探し方には以下のような方法があります。
- 知人からの紹介
- 転職サイト
- 転職エージェント
- ハローワーク
- 大手予備校の合同就職説明会
求人を探す方法 | メリット | デメリット |
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求人探しには転職エージェントを活用する
いろいろな方法がありますが、おすすめは「転職エージェント」の活用です。
転職エージェントを利用する最大の理由は、会計事務所の内部情報を知ることができる点です。
会計事務所は小規模で個人経営のところが多く、ホームページが存在しないことも普通にあります。
ホームページがあったとしても情報量が少なく、どんなスタッフが在籍しているのか全く分からない場合も多いです。
その点、転職エージェントは会計事務所とコンタクトを取っていますので、ホームページや求人票に無い内部情報を持っています。
会計事務所への転職を2度経験した僕としては、「人間関係に関する事項」は必ず確認した方が良いと思っています。
- 所長税理士の性格・人柄
- 年齢構成
- 男女構成
- 税理士試験の受験生が何人いるか
効率的な転職活動には転職エージェントからの内部情報は欠かせません。
転職エージェントには優良求人が集まりやすい
また、転職エージェントには優良求人が集まりやすいという特徴があります。
その理由は転職エージェントのビジネスモデルにあります。
求職者は転職エージェントを全て無料で利用できます。
転職エージェントはお金を求職者からではなく、人材を採用した企業からもらいます。
一般的に、転職した人の年収の約30~35%が人材を採用した会計事務所から転職エージェントに紹介手数料として支払われます。
例:年収400万円×30%=120万円(紹介手数料)
人材の採用にこれだけのコストをかけるには、資金的な余裕が無ければ無理です。
絶対ではありませんが、資金的に余裕がある会計事務所は優良企業の可能性が高いです。
また、人気の会計事務所が求人募集をすると応募が殺到して選考が大変です。
そのため、人気の会計事務所は求人を「非公開」として転職エージェントに募集をかけ、会計事務所が求める条件にマッチした人材のみを紹介してもらっているのです。
このように、転職エージェントには優良求人が集まりやすいというメリットがあります。
また、税理士を目指すのであれば「税理士業界」のことを知っておく必要があります。
会計事務所に特化した転職エージェントを利用すれば、転職のサポートを受けながら税理士業界のことも聞くことができます。
ネットや書籍でもある程度の情報は手に入ります。
しかし、頻繁に会計事務所とコンタクトを取っている転職エージェントの情報にはかないません。
どんな些細なことでも遠慮なく転職エージェントに相談してみましょう。
転職エージェントの選び方
転職エージェントは大きく分けて「総合型」「特化型」の2つのタイプがあります。
総合型と特化型の特徴は次の通りです。
総合型 | 特化型 | |
取扱い職種 | あらゆる職種 | 特定の職種のみ |
求人件数 | ◎多い | △少ない |
会計事務所業界の知識 | △乏しい | ◎豊富 |
特徴 |
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転職エージェント |
このように、総合型と特化型とでは特徴には一長一短があります。
転職を成功させるためには「総合型の転職エージェント」と「特化型の転職エージェント」を併用することをおすすめします。
また、特化型転職エージェントには会計事務所特有の条件で求人検索ができるという特徴があります。
東京や神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、京都、福岡といった「都市部の会計事務所」を希望されるなら「ヒュープロ(Hupro)」がおすすめ。
ヒュープロの代表取締役社長 山本玲奈さんは女性ということもあり、女性ならでは条件で求人検索ができるのも特徴です。
「未経験者可」「資格取得応援」はもちろん、「時短勤務あり」「働くママ在籍」「育児支援制度」といった女性にフォーカスした条件での絞り込みができます(画像をクリックすると検索画面にジャンプできます)。
中には「働きながら家事も育児もしてさらに長期間の転職活動なんて無理…」という方も多いでしょう。
ヒュープロは登録から内定まで平均21日間という実績を誇ります。
税理士業界に精通したキャリアアドバイザーからスピーディに求人案件が提案され、「楽」で「早い」転職が可能です。
ヒュープロは会員登録がメチャクチャ簡単
さらに、ヒュープロの新規会員登録は他の転職エージェントに比べてとてもカンタン。
一般的な転職エージェントの場合、会員登録には「名前」「生年月日」「住所」「電話番号」「学歴」「現在の勤務先」「現在の年収」など多くの個人情報が必要。
最初から個人情報をガッツリ入力することに不安や手間を感じる方も多いと思います。
一方、ヒュープロの会員登録は「メールアドレスの入力」「パスワードの設定」のみでできます。
あとはヒュープロからメール連絡を待つだけです。
まずは転職エージェントと話してみて、信頼できそうだと感じたら詳細情報の登録をすればOKです。
会員登録する ⇒ Hupro(ヒュープロ)公式ページ
ヒュープロを税理士の視点から詳しく解説した記事はこちら「ヒュープロ(Hupro)の評判は?東京の会計事務所に転職したい人は必須」
会計事務所に強い転職エージェント、転職エージェントの効果的な活用方法については、コチラの記事「会計事務所・税理士に強いおすすめの転職エージェント『5選』」で詳しく解説していますので参考にして下さい。
会計事務所で働きながら税理士になる方法
会計事務所で働きながら税理士になる方法を、様々な立場を想定して考えました。
「せっかく会計事務所で働くなら税理士を目指してみたい!」という方はぜひ参考にして下さい。
30歳から税理士を目指す方法
30歳になると、このまま今の会社で働くのか、それとも転職するのか迷うことも多いと思います。
僕が税理士を勉強し始めたのは30歳の時でした。
30歳から税理士になる方法をこちらの記事「30歳社会人が最短で税理士になるための完全ロードマップ / Fラン卒でもなれた!」に詳しくまとめています。
30歳から本気で税理士になりたいという方は、ぜひ参考にして下さい!
40歳から税理士を目指す方法
40歳から税理士になることももちろん可能です。
しかし、40歳になると結婚して子供ができ、住宅ローンがあったりと30歳の時とは状況が大きく変化している方も多いはずです。
ですので、ある程度「作戦」を考えながら資格取得を進める必要があります。
そこで、40歳から税理士を目指す具体的な方法について、こちらの記事「税理士を40代から勉強して目指すのは可能?具体的な方法を現役税理士がガチ解説」に詳しくまとめました。
40歳からガチで税理士に目指したい方は参考にして下さい!
50歳から税理士を目指す方法
50歳から税理士になることは可能です。
50歳になると会社の定年がちらつき始めて、定年後の暮らしを具体的にイメージするようになります。
また、子供に手がかからなくなる一方、子供の学費など金銭的な負担が増えてくる年代です。
金銭的な負担も増えますが、自分の時間も増えてきたという方もいらっしゃると思います。
50歳から税理士を目指す場合、税理士として働ける年数を考え、5科目合格(官報合格)は諦めた方が良いかもしれません。
ですので、「大学院での科目免除(税法2科目)」を利用することがほぼ必須になります。
50歳から本気で税理士を目指す方法については、こちらの記事「50歳から税理士を目指すのは可能?具体的な方法を現役税理士が解説!」を参考にして下さい。
主婦から税理士を目指す方法
もちろん主婦の方でも税理士ななることは可能です。
- 子供の教育費が不安…
- 旦那様がかなり年上で旦那様が定年した後の生活が心配…
などの理由から税理士を目指す30歳前後の主婦は専業主婦、兼業主婦を問わず増えています。
主婦の方が税理士を目指す場合、一番のネックとなるのが「勉強時間の確保」でしょう。
家事や育児、仕事、勉強を同時に行うことは難しいですが、不可能ではありません。
スキマ時間を効率よく使って科目合格を果たす主婦も多いです。
⇒【スタディング体験談】仕事と子育てをしながら簿財2科目合格!短期間で官報合格(5科目合格)が理想です。
しかし、短期間かつ高い確率で税理士資格を取得するなら、やはり大学院での税法2科目免除は利用した方が無難でしょう。
主婦から税理士を目指す具体的なステップについては、こちらの記事「主婦から税理士になるには…?ママが税理士を目指す具体的ステップを解説」で詳しく解説しています。
シングルマザーから税理士を目指す方法
シングルマザーから税理士になるのは可能です。
一番の問題は「勉強時間の確保」です。
ご実家からの全面的な支援を受けられるなら、勉強時間の確保もかなり現実的になります。
また、少しでも勉強時間を確保する為に、日常のスキマ時間を有効に使うことは必須。
詳しくは以下の記事「シングルマザーから税理士になる方法を完全解説」で解説しています。
高卒から税理士を目指す方法
高卒でも税理士になるのは可能です。
高卒者が税理士を目指す際、一番の問題点が「税法科目の受験資格」です。
税理士試験の受験科目は「会計科目」と「税法科目」に分けられます。
会計科目は受験資格が無く誰でも受験できますが、税法科目には受験資格があります。
受験資格を得る方法はいくつか存在します。
僕がおすすする方法は「会計事務所で2年以上働く」というもの。
この方法ならお金をもらいながら、税法科目の受験資格と実務経験が積めるので「一石三鳥」です。
高卒者が税理士になる方法については、こちらの記事「高卒から税理士になるには?なり方を超具体的に解説してみました」で詳しく解説しています。
大学生から税理士を目指す方法
大学生が最も税理士資格に近い環境にあります。
なぜなら、社会人とは比べ物にならない「勉強時間」が確保できるからです。
ですので、現在大学生で税理士を目指したいという方は、前向きに検討すべきだと思います。
予備校・通信講座によっては「学割」がきくので受講料も安いです。
通信講座最安値のスタディングの場合、学割で全商品20%OFFになります。
現役大学生が税理士になる方法については、こちらの記事「【何学部でも問題ナシ?】大学生から税理士になる方法を徹底解説」で詳しく解説しています。
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